住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の上手な使い方まとめ

住宅金融支援機構の前身は住宅金融公庫です。住宅金融公庫は、資金力のない個人に住宅建築用の融資をするため、1959年に国が始めた公庫です。
戦後の住宅不足が問題だった時期に、低金利で長期の融資を受けられるとあって、住宅金融公庫が大変人気がありました。それは、住宅金融公庫設立から平成8年までに立てられた住宅の3割が、住宅金融公庫を利用したというデータによっても裏付けられています。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の上手な使い方をご紹介します。住宅ローンをご検討中の方は、ぜひ参考にしてください!
Contents
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)とは
住宅金融公庫が2007年の4月より、住宅金融支援機構として生まれ変わりました。住宅金融支援機構は、独立行政法人の機関です。住宅金融公庫の権利と一部の業務を引き継いでいます。
独立行政法人とは、政府の監督のもとに、社会経済の安定は国民生活の安定を保つための業務を行う機関です。
なぜ、住宅金融公庫から住宅金融支援機構に移行したのかについては、バブル崩壊後に民間の金融機関が低金利の融資制度を展開してきたことが理由にあげられます。
各民間金融業者が低金利なら、高額な税金のもとに運営されてきた融資制度は見直しを余儀なくされました。住宅金融支援機構に移行して内容が具体的にどう変わったかについては、おおむね個人向けの融資は廃止になりました。
しかし被災者向け融資、リフォーム融資、まちづくり融資、高齢者など一定の条件をもとに融資をする場合の業務は住宅金融公庫から住宅金融支援機構が引き継いでいます。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資手続きについて
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の住宅ローンを受けたい方はどのように手続きを踏めばよいでしょうか。
まず、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のホームページを見たり、金融機関に出向くなどして、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資について、できうる限りの知識を得ることから始めましょう。
もちろん、ここで、他社ローンに決められる場合もあります。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)でのローンを決意された場合は、金融機関で借り入れの申し込みをします。金融機関の審査が通れば、次には適合証明書の提出となりますが、まず建物の設計、設計の検査があります。
そこで基準を満たしていると工事着工となり、一戸建ての場合は途中にも検査があります。
無事竣工すれば、竣工検査があります。それを通ると適合証明書の提出となります。そこで初めて融資の契約を結び、資金を受け取ることができます。
そのあとは、登記、抵当権設定と続き、すべてが終了するとめでたく入居となります。
以上、大変長い道のりとなっております。
書類の多さは機構の体質の強固さとイコールのものですので、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のローンの信頼性をうかがい知ることもできます。
パンフレットはホームページからダウンロードできますので、まずはその内容を見て要件を満たしているかどうかの確認から始めましょう。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資体験談
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の住宅ローンは住宅建築、購入された方の多くが利用されています。
実績も信用も安心感もある融資ですが、実際にローンを組んだ方はどのような感想を持たれているでしょうか。おおむね、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の住宅ローンのおかげでマイホームができましたという喜びの声が多いです。
しかし、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)と契約した人の中でも主体的に話を進めた方が大半ですが、中には住宅販売業者の勧めによって決定した人もあるようです。
結果、間違いはなかったとしても、途中に他のローンと住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のローンの比較検証をした方もあり、最初から商品の詳細を理解しておくべきだったという声があります。
また、融資額について、注意すべきとの感想もあります。フラット35の借入額を、年収からはじき出された借り入れ可能な限度額まで借りて安心感を持っていたが、実際マンションを購入してみると管理費や固定資産税、駐車場の賃料、家族の交通費など、細かい出費がかさみ、楽にできるはずの返済をしていくためには、生活をかなり切り詰める結果となったという方もあります。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)での融資に限りませんが、融資を受ける場合は融資限度額で決めるより、可能返済額を徹底的に考えてから融資額を決め、物件の金額を決めるべきであったということです。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)を利用する場合の注意点
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)を利用する場合には、経済面での基準、建物に対する基準を満たさないといけません。
建物のついては、建築基準法に適合することはもちろんのこと、それ以外にも住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)独自の基準がありますので、そちらへも適合する必要があります。
具体的にはどのような要件があるでしょう。
ここでは住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のフラット35を利用する場合を考えてみましょう。年齢は親子で返済する場合を除き、70歳までで、安定した収入のある方に限ります。
すべての借り入れが年収400万未満なら30%以下で、400万以上の場合は35%以下で抑えられること。リフォームや、ローンの組み換えのためには利用することができません。
床面積は共同住宅の場合は30平米それ以外は70平米以上。建設費、購入費は1億円以下。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のフラット35の借り入れ金額は100万以上8000万以下で、建設費または購入価額の90%以内。金利については、フラット35の場合長期固定ですが、金融機関により異なります。
金利は申し込み時の金利ではなく、資金を受け取る時の金利、つまり住宅が建ってすべての検査や書類が提出され契約が交わされたときの金利が適用されます。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)での融資を受ける場合、以上のようなことが要件としてあげられています。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)と抵当権の登録免許税
住宅金融公庫が住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)に変わったことにより借入者の負担増となったものに、「抵当権の登録免許税」があげられます。
金融機関から融資を受ける場合には、担保が必要となってきます。
住宅ローンの場合は、融資をしてくれる金融機関や住宅ローンの保証会社に担保を入れるわけですが、ここでは、購入した土地や建物を住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)に入れることになります。支援機構でフラット35の融資を受ける場合、抵当権者は金融機関ではなくて、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)になります。以前住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が住宅金融公庫であったときには、国の機関でした。
ですので、抵当に入れる場合に必要な登録免許税は非課税でした。
しかし、住宅金融支援機構が設立し、その後暫定措置があったものの2007年4月より、フラット35に申し込んだときの抵当権設定の登録免許税は、借入者が支払うことになりました。
その額は、借入額の1000分の1となります。それ以外にも司法書士への手数料も必要となり、こちらは、数万円となっています。これらの事柄は、国の機関としての住宅金融公庫から住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)へ、変わったために発生した借入者への負担増です。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「フラット35」
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「フラット35」は、住宅建築をお考えの方に有利で安心な融資制度です。住宅建築には多額の資金が必要ですが、キャッシュで支払える方はごくまれで、多くの方は融資を受ける形で住宅建築を決意されます。
この住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「フラット35」は、最長35年の長期固定金利住宅ローンとなっています。
一般的な住宅ローンの金利には、大きく分けて、変動型と固定型とあります。金利が高い時期に借り入れをする場合は、変動型にする方が、後々金利の支払い額の減少を望めます。
金利の低い時期に借り入れをされる場合は、固定型が安心と言えます。住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「フラット35」は、長期固定金利となっており、将来の家計の計画が立てやすい、金利が増加しない安心感がある、などが大きなメリットです。
また、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「フラット35」の第二のメリットとしては、借り入れ契約時に必要な場合の多い保証料が不要で、また、一部繰上返済の場合の繰上返済手数料も不要という点があげられます。
(まとまったお金ができたときには繰上返済を行うと、以後支払う利息が、その分減ることになります)。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の火災保険
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)で融資の契約をした場合は契約者は住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)指定の火災保険に加入することになっています。
指定の火災保険に加入することになっているのには理由があります。万が一(火災や、自然災害など)のときに、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)側から見ると必要な保険金が下りないと債権が保全されなくなります。
しかし、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)指定の火災保険以外の保険では、一部保障内容が手薄な場合があり、雪による被害や、風による被害などの自然災害の場合には保険金が支払われないなどという場合もあります。
そのため、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)指定の火災保険に限定しているというわけです。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)指定の火災保険は一般的な火災保険より割安で決して不利ではありませんが、他社保険にはそれより保険料が安いものもあり、そちらに変更したいと考える方もいるようです。以上のような理由を知ると納得が行きます。
また、火災保険だけでは、地震の際の被害について保険金が下りませんので、地震の被害についても保険をお考えの場合は別途特約地震保険の契約が必要となります。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の機構財形住宅融資
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のフラット35を利用の借入者は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の機構財形住宅融資を併せて利用することが可能です。
機構財形住宅融資は財形貯蓄を行っている方が利用できる住宅ローンです。こちらの金利は5年ごとに見直すもので、フラット35の長期固定金利の安心感とともに、機構財形住宅融資の低金利のメリットも受け取れることになります。ですので、融資を受ける上で大変賢い資金計画と言えます。
融資額の上限は、フラット35が8,000万円、機構財形住宅融資の方は4,000万円となっていますので、これらを併せると建築費(購入費)の全額の融資を受けられることになります。
保証料が不要、融資手数料不要、抵当権設定登記の登録免許税も不要となっており、メリットが多い融資です。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のフラット35と住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の機構財形住宅融資を併用する場合には申し込み条件があり、財形貯蓄を1年以上続けていて、申し込み日にその貯蓄高が50万以上ある、現勤務先から住宅についての援助を受けることができるなど、基本的な条件があります。
また、住宅そのものについても、面積や耐久性などの技術基準を満たすことも必要となります。建築費(購入費)が1億円以下であることも条件のひとつです。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の機構団体信用生命保険
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)を利用する借入者には、機構団体信用生命保険という保険に加入できる制度があります。
この保険は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)で融資を受けた借入者が万が一の場合、生命保険会社から支払われる保険金で残債を弁済する仕組みとなっています。
万が一の事態というのは、満80歳になる誕生日が含まれる月の末日までに死亡されたり、または高度の障害を負うことになった場合です。その場合は住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)での住宅ローンはいっさいなくなることになり、万が一のときに遺された家族、または、高度の障害を負う家族を抱えることになった家族も安心してマイホームに暮らすことができます。
さらに機構団体信用生命保険では、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3大疾病の場合も保障する保険もあります。
そのような大変安心な保険となっていますが、2008年10月からこの保険の特約料が値上がりすることになりました。
その理由としては、加入する方の年齢が上がってきているので、加入者が死亡するケースが増えていることにあります。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のローンをすべて弁済した場合は、保険は自動的に終了することになりますが、そのローン弁済より先に契約者が死亡する事例が多いので、値上げに踏み切ったということです。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の災害復興住宅融資
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)では災害にあった場合の住宅融資があります。
地震などの災害で住宅が全壊や半壊の状況に陥られた様子を見ると本当に胸が痛みます。中にはまだ住宅ローンをかかえているといった場合も多々あり、ローンを抱えながらまた新築あるいは改築をしなければならない状況は金銭的にも精神的にも大変な苦労です。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)ではそのような場合の住宅ローンもあります。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が決定する「災害の終息日」から2年間に申し込むことができます。住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のHP上の記載では、災害により被害を受けられた方への災害復興住宅融資の受付も確認できるので、迅速な対応が見て取れます。災害に遭われた場合には心強い融資制度と言えます。
申し込みには、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が指定した災害による被害を受けたことを証明する地方公共団体からの書類が必要です。その書類とは住宅の全壊、半壊など状況を記した「罹災証明書」です。
その書類の発行を受けた方が次に必要なのは、住宅の被害状況に関する申出書と被害状況の写真提出です。また、災害復興住宅融資以外を含め、すべてのローンの総額が年収に占める割合なども審査の対象となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
住宅ローンを検討されている人は、民間の銀行等と住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)をしっかりと比較検討して、
それぞれのメリット、デメリットを見極めることが大切です。